【解説】力と運動_問18

【力と運動_問18】

上の図のように、静止する物体Xを右向きに押すと125 Nよりも大きくなると物体Xは動き出した。次に、下の図のように、物体Xを2つ重ねた物体を押すとどうなりますか?

A:上の図と同じように、125 Nを超えると動き出す
B:125 Nよりは大きく、250 Nよりは小さい力で動き出す
C:250 Nを超えると動き出す

高校物理の力と運動の問題。静止している物体にかかる静止摩擦力の変化と、質量が増えたときの動き出す力の大きさを問うシミュレーション画像
Puさん
Puさん

答えは、 C です。


押した後、125 Nを超えると動き出したね。125 Nまでは、加えた力と静止摩擦力がつりあっていたね。
この物体Xは125 Nまではギリギリ耐えられるんだね。このギリギリ耐えられる静止摩擦力を「最大摩擦力」というよ。この問題の設定では、最大摩擦力は125 Nだね。

ピグちゃん
ピグちゃん

あれ、でも動き出すと摩擦力は急に小さくなっちゃうんだね。
摩擦力は125 Nだったのに、94 Nになってる!

Puさん
Puさん

よく気がついたね!

物体が動いているときの摩擦力は「動摩擦力」というよ。一般に、動摩擦力は最大摩擦力よりも小さくなるんだ。(動摩擦力の詳細は次回以降!)

ピグちゃん
ピグちゃん

なるほどね。
ところで、なんで2個重ねると最大摩擦力は大きくなるの?

Puさん
Puさん

最大摩擦力は、垂直抗力の大きさに比例するからなんだ。
ここまでの内容をまとめるとこんな感じ。太字部分は新しく追加した部分だよ。

① 静止摩擦力:静止している物体が動き出すのを妨げるように受ける摩擦力
 →基本は力のつりあい
 →静止摩擦力の最大値を「最大摩擦力」という。
 →最大摩擦力は次の式で表すことができる。
  F = μ N
  F [N]:最大摩擦力
  μ :静止摩擦係数(物体と面によって決まる数)
 N [N]:垂直抗力

② 動摩擦力:動いている物体が受ける摩擦力

※ どちらも物体が接触する面から受ける力です。問題文には、「あらい面」、「なめらかでない面」などと書かれています。

ピグちゃん
ピグちゃん

物体Xを2個重ねるのと垂直抗力が関係するの?

Puさん
Puさん

質量が2倍 →重力の大きさも2倍 →垂直抗力も2倍だね
垂直抗力は問8で勉強しているよ。

ピグちゃん
ピグちゃん

なるほど〜
F = μ N μ って何?

Puさん
Puさん

μはギリシャ文字で「ミュー」って発音するよ。
静止摩擦係数といって、物体と面によって決まる数なんだ。
滑りやすい組み合わせなら静止摩擦係数μは0に近いし、滑りにくかったら静止摩擦係数μは1を超えることもあるよ。

シミュレーション画面右側の「摩擦」と書かれたメーターが、「静止摩擦係数」だよ!

ピグちゃん
ピグちゃん

μって、ミュウって読むんですよね?

Puさん
Puさん

そう読んだらポケモン図鑑になるからやめてな

ピグちゃん
ピグちゃん

μのこと思い出すと、泣けてきます…

Puさん
Puさん

静止摩擦係数に泣けるエピソードないねん

ピグちゃん
ピグちゃん

μの値は、151でしたっけ?

Puさん
Puさん

それ図鑑No.やろ
もうええわ

ふりかえり

 ◎ 静止摩擦力の最大値を最大摩擦力という。最大摩擦力FF = μ N と表せ、垂直抗力の大きさに比例する。
 ◎ μ(ミュー)は、静止摩擦係数といい、物体と面の組み合わせによって変わる数である。


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